(特活)地雷廃絶日本キャンペーン(JCBL)プレスリリース 2017年8月31日発行
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クラスター爆弾の被害者が倍増!
『クラスター爆弾モニター報告書2017』が発行されました

地雷禁止国際キャンペーン/クラスター兵器連合(ICBL/CMC)は2017年8月31日、クラスター爆弾に関する各国の政策や被害状況、禁止条約締約国による履行状況などの最新情報をまとめた『クラスター爆弾モニター報告書2017』(Cluster munitions monitor 2017)を発表しました。以下は、最新版における注目点です。

これらの問題は9月4日からジュネーブで開催されるクラスター爆弾禁止条約の第7回締約国会議で議論されます。

JCBL代表理事の清水俊弘は、「条約締約国は、いまだクラスター爆弾を使用しているシリア政府やサウジアラビア政府を厳しく糾弾すべきだ」と指摘しています。

クラスター爆弾禁止条約の現在
• 2017年8月1日現在、クラスター爆弾禁止条約の署名国あるいは批准国は119ヵ国である。このうち、条約のすべての条項に法的に拘束される締約国は102ヵ国である。条約は2010年8月1日に発効しており、クラスター爆弾によってもたらされる被害を終わらせる唯一の国際的な取決めとなっている。
• 2016年9月以降、マダガスカルとベナンが条約を批准した。
• 2016年12月5日、32の非署名国を含む141ヵ国がクラスター爆弾禁止条約を支持する国連総会決議を採択した。ロシアとジンバブエのみが決議への反対票を投じた。

使用
• 2008年5月の条約の成立以降、締約国によるクラスター爆弾の使用に関する報告はない。
• 2016年7月1日以降、クラスター爆弾の使用は、シリア政府によるシリア内での使用とサウジアラビア率いる連合国によるイエメン内での使用が確認されている。

被害者
• 2009年に『クラスター爆弾モニター報告書』が発行されて以降、2016年はクラスター爆弾による被害者数が2番目に多い年であり、2015年の倍の数字であった。
• 2016年には合計で971人のクラスター爆弾による被害者が記録された。このうち、最も被害が大きかったのはシリア(860人)であり、次いでラオス(51人)、イエメン(38人)である。
• 被害者のほとんどは市民であり、2016年には、その割合は98%を占めた。
• シリアとイエメンにおいて、被害はクラスター爆弾による攻撃中に発生しており、少なくとも857人の被害者を生んだ(シリア837人、イエメン20人)。
• 2016年には、クラスター爆弾の不発弾の被害は10ヵ国で発生した。10ヵ国は以下の通りである。ボスニア・ヘルツェゴビナ、イラク、ラオス、レバノン、リビア、セルビア、南スーダン、シリア、ベトナム、イエメン。
• アメリカがラオスと東南アジアでクラスター爆弾を使用した1960年代以降、2016年までの間に21,200人のクラスター爆弾による被害者が確認されている。しかし、確認されていない多くの被害者がいるとみられる。推計では、33の国と地域で約56,000人がクラスター爆弾の被害に遭っていると考えられている。

被害者支援
• ドブロブニク行動計画にあるように、締約国は2020年までにクラスター爆弾の被害者支援の改善に取り組んできた。今回の報告書では、国際協力が減少している中ではあるが、被害者が質の高いリハビリテーションを受けられるように、また経済活動に参加できるようにする支援を増やしていくように求めている。

製造と移転
• 2016年8月、アメリカのクラスター爆弾製造企業であるテキストロンがクラスター爆弾の製造を止めた。この企業はアメリカでクラスター爆弾を製造している最後の企業だったため、アメリカによるクラスター爆弾の製造は実質的に終了したことになる。

廃棄
• クラスター爆弾を保有していた41の締約国のうち、28ヵ国が保有しているクラスター爆弾を廃棄した。廃棄したクラスター爆弾は140万、子爆弾の数は1億7,500万個に上る。この数字は、締約国が保有していたクラスター爆弾の97%、子爆弾の98%を占める。
• 2016年、3つの締約国(スロバキア、スペイン、スイス)が56,171個のクラスター爆弾と約280万個の子爆弾を廃棄した。10の締約国が保有クラスター爆弾の廃棄をせず、数ヵ国が廃棄の為の資金的・技術的支援を必要としていることを示唆している。

条約の解釈
• 10の締約国がクラスター爆弾関連への投資を禁止する法律を施行している。また、少なくとも28の締約国と署名国がクラスター爆弾の製造への投資は条約で禁止されている支援行為にあたると判断している。

報告書と関連資料は、2017年8月31日午後5時(日本時間)より、下記ウェブサイトよりご覧いただけます。
http://www.the-monitor.org/en-gb/reports/2017/cluster-munition-monitor-2017.aspx

概要(Major Findings)の日本語訳はこちらからご覧いただけます。

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