(特活)地雷廃絶日本キャンペーン プレス・リリース
2011年11月22日 発表
過去最高の地雷対策費を記録
『ランドマインモニター報告 2011年版』
地雷禁止国際キャンペーン(ICBL:InternationalCampaign to Ban Landmines)は、11月23日、『ランドマインモニター報告2011年版(”Landmine Monitor Report 2011”)』を発表します(※)。
対人地雷全面禁止条約は1999年3月に発効し、現在世界の約8割にあたる158カ国が締約国となっています。2011年には2カ国(ツバル、南スーダン)が締約国となるとともに、2010年は世界で過去最高の6370万ドルが地雷対策費に拠出されるなど、条約に前進が見られた年でした。しかし、4つの非締約国による地雷の使用が確認されており、条約の普遍化をより一層進めていく必要があります。
『ランドマインモニター報告2011年版』では、以下のことが報告されています。
地雷対策費―過去最高を記録
・ 2010年、31のドナー国が57の被害国に対して合計4800万ドルの援助を行なった。これは、2009年の援助額からさらに340万ドルの増額である。また、被害国自身が計上した地雷対策費をあわせると6370万ドルとなり、過去最高の地雷対策費の額となった。
地雷の除去―過去最高の除去面積
・ 2010年に地雷が除去された面積は少なくとも200 km2に上り、過去最高の除去面積を記録した。また、38万8千個の対人地雷と2万7千個の対車両地雷が廃棄された。
条約の普遍化―2カ国が加入
・ 2011年、対人地雷全面禁止条約にツバルと南スーダンの2カ国が加わり、2007年以降初の締約国の増加となった。2011年に独立した南スーダンは、2011年11月11日に条約に加入した。また、いくつかの国で批准の手続きが進んでおり、来年フィンランドとポーランドが加わる見込みである。
対人地雷の使用―4カ国が使用
・ 2011年、新たな対人地雷の使用がイスラエル、リビア、ミャンマー(ビルマ)で確認された。また、10月にはシリアでも新たな地雷の埋設が確認された。これらの4カ国は対人地雷全面禁止条約の非締約国である。また、非国家主体による対人地雷の使用は、アフガニスタン、コロンビア、ミャンマー(ビルマ)、パキスタンで確認されている。
対人地雷の廃棄―4カ国が条約違反状態
・ ベラルーシ、ギリシア、トルコ、ウクライナの4カ国が、条約が定める期限内に地雷の廃棄を終了せず条約違反の状態となっている。
被害者数―2009年から増加
・ 2010年の対人地雷による被害者は少なくとも4,191人に上り、2009年から5%増加した。依然として被害者数の情報収集が十分にできていない国があり、実際の被害者数はこの数字以上になることは確実である。2010年は、被害者のサービスへのアクセスへの改善に焦点をあて被害者支援活動が行われ、いくつかの国で改善が見られたが、紛争などにより状況が改善しなかった国も多い。
JCBL代表理事 北川 泰弘のコメント
「地雷対策費が過去最高を記録したことは喜ばしい。しかし、日本の地雷対策ODAは、国内事情により、前年比で2009年は7%減、2010年は3%減であった。地雷対策費が増えたとしても、現場の地雷除去担当者の給与遅配、犠牲者援助の予算不足の問題が解決出来たかをチェックする必要がある。増えた分が高官の私腹を肥やすのに充てられたとしたら問題である。地雷対策費の使い方についてしっかりした監査が望まれる。」
※ICBLは、1999年に対人地雷全面禁止条約が発効して以来、対人地雷に関する報告書を発表し、各国の条約の履行状況をモニタリングしてきました。その成果は、被害が生じる現場に根ざした市民社会の調査による「信頼できるデータ」として国際社会から注目されています。
“Landmine Monitor 2011”、および関係資料は、2011年11月23日(GMT)より
www.the-monitor.org/lm/2011にてダウンロードが可能です。
本件に関する問い合わせ:地雷廃絶日本キャンペーン事務局内海旬子
Tel:03-3834-4340 utsumi@jcbl-ngo.org