クラスター爆弾禁止条約第2回再検討会議報告

清水俊弘 JCBL代表理事

 2020 年 11 月 25 日から 27 日までの 3 日間、スイスのロー ザンヌでクラスター爆弾禁止条約(オスロ条約)第 2 回再 検討会議(第 1 部)がオンラインで開催されました。オスロ 条約が 2010 年に発効してから 10 年。2 回目の再検討会議 (Review conference)になります。

■条約発効から10年の成果と喫緊の課題

 最新の『クラスター兵器モニター 2020』では、条約締約国の保有するクラスター爆弾の 99% が破壊処理されたこと が報告されています。また、広範囲に及ぶ不発弾汚染地域 が安全を取り戻しました。中でもクロアチア、モンテネグロを含む6カ国が自国内の不発弾の処理を完了し、各地における危険回避教育も効果を上げるなど、条約発効から10 年続いてきたクラスター爆弾による犠牲を減らすための取り組みは確実に成果を上げています。 

 今回の会議では、アゼルバイジャンのナゴルノカラバフにおけるアゼルバイジャン、アルメニア両軍やシリア軍など、現在においてもこの残虐兵器を使用している国に対して、直ちに使用を止めること、そして可及的速やかにオスロ条約に加盟 することを求める声が多くの締約国から上がりました。 

 また、条約の普遍化については、2015年に開催された第1回再検討会議で採択されたドブロブニク行動計画に「次の再検討会議までに加盟国を 130 にする」という数値目標が掲げられていましたが、この間の新規加盟国は 10 カ国 で、依然として 110 カ国に留まっています(2021 年 6 月 24 日、ナイジェリア連邦評議会が同条約への批准を決議しまし た。まもなく国連への寄託が済めば加盟国は111カ国となります)。

 今回策定される“ローザンヌ行動計画”では、普遍化を促進するためのさらなる具体策が盛り込まれる予定です。  第1部では、主に条約の普遍化、条約第 3条(備蓄兵器の破壊)、4条(不発弾除去)の期限延長承認、犠牲 者支援、そしてコンプライアンスに関する議論がなされました。 コンプライアンスについては、オランダ政府とCMC(クラスタ ー兵器連合)がリビア、シリア、そしてイエメンの使用疑惑 に対して厳しいコメントを出しました。CMC はまた、アゼルバイジャンのナゴルノカラバフにおけるクラスター爆弾の使用についても再度言及し、真相究明と再発防止を強く訴えました。 不発弾除去については、今回期限延長の申請を出した、ボスニアヘルツェゴビナ(~2022/9/1)、チリ(~ 2022/6/1)、レバノン(~ 2026/5/1)の3ヵ国の延長が承認 されました。また備蓄クラスター爆弾の廃棄期限の延長についてはブルガリア(~ 2022年)、ペルー(~ 2024年)がそれぞれ承認されました。いずれにしても、どの国においても 期限の前倒しで完了させることが条約の規範力を高める肝であることは言うまでもありません。

第2部、そしてローザンヌ行動計画策定に向けて

 当初第 2部は、6月中の開催を予定していましたが、コロ ナウイルスの再拡大に伴い、再度延期が決まり、現時点では 9月20日、21日の2日間、ジュネーブの国連欧州本部で開催される予定となっています。 

 最終的に策定される“ローザンヌ行動計画”はこれから5年間で達成すべき重要な行動指針を示すものになります。  普遍化や不発弾対策の着実な実施はもとより、これまでうまく機能してこなかった会合間会合 ( Intersessonal meeting) を充実させることで 、担当国の関与を高め 、行動計画の達成に向けた相互協力や、障害を乗り越える方策を小刻みに検討できる環境をつくることが求められています。 GICHD( 人道的地雷除去ジュネーブ国際センター ) は 、この会議を対人地雷全面禁止条約の会合と日程を合わせる形で行うことによって参加者の負担を減らし、協議の効率を高めることができると提言しています。

 第2部のハイライトとして期待されているのは、クラスター爆弾による被害を根絶するための各国高官による力強いメッ セージです。再検討会議の最終日は締約国の大臣レベルの高官がそれぞれの国の取り組みを表明する場面が用意されています。これから5年で達成を目指す重要事項に対するハイレベルな公約を示すことは、すなわち条約の実効性を高めることにつながります。

 クラスター爆弾禁止条約発効から11年になろうとしている今、成立時の初心に立ち返り、クラスター爆弾の廃絶に向けて誓約した諸施策を完遂すべく、様々な立場の組織が柔軟に協力できる仕組みの構築と、そのために必要な資金が 拠出されることを願っています。

朝鮮戦争の影不発弾の被害者たち

趙載国 韓国地雷対策会議(KCBL)コーディネーター・長安大学理事長

 韓国史における最大の悲劇であった朝鮮戦争が終わって既に68年目になるが、その悲劇的な傷痕は未だ癒されていない。6月はじめに、韓国地雷対策会議(KCBL) が発表した韓国の地雷及び不発弾被害者の調査結果では、朝鮮戦争の後に残された武器の犠牲になった民間人被害者が 6,428 名、うち子どもと青少年の被害者が 63% に上る。これは世界的に知られた地雷汚染地域であるカンボジア、アンゴラ、アフガニスタンなどと変わらない 状況である。それらの地域には国際的な被害者支援が届いているが、韓国の被害者たちにおいては、その存在すら国家の安全保障の蔭に隠されてきた。 

 地雷の事故は、主に非武装地帯付近およびその周囲で発生しており、足など体の一部を欠損することの多い成 人の被害に比べ、子どもの場合は死亡するケースが多かった。一家で 4 名が事故にあったり、三世代に掛けて事 故に遭うケースもある。不発弾事故では、子どもたちが おもしろい形をした不発弾を拾って爆発させたケースが多かった。激しい戦闘があった慶尙北道榮州市では、小学生が下校途中の川辺にあった不発弾に遭い、9名が死亡、4名が重傷を負った。京畿道儀旺市では、1964年10月、 不発弾の事故によって 3名が死亡、89名が重軽傷を負い、 坡州市では、砲弾の爆発によって2歳の子ども3名を含む16名が死亡し、22名が重軽傷を負った。釜山南浦洞では、1979 年3月に脱営兵の手榴弾の爆発によって36 名の民間人が被害をうけた(死亡1名)。

 50 ~ 60年代に毎年 100 名を超える子どもが犠牲になり、2010年以後にも約30名の市民が事故に遭った。去る6月4日にも、ソウル付近の高陽市漢江辺にて、環境運動家の一人が、地雷爆発によって足首から先をなくしている。 

 韓国における地雷および不発弾の被害とは、国家の安 全保障(安保)の災害であるといえよう。安保のために使った武器によって民間人が、それも子どもたちが命を失い、また足首の切断や失明の被害を受けたとしたら、 国家と国民は彼らを慰労し、支援すべきである。しかし、 6,000名を超える被害者とその家族は誰の助けもないまま、苦痛の歳月に耐えざるを得なかった。近年、韓国政府はアジア、アフリカの地雷除去や被害者支援に巨額の資金を出しているが、国内の被害者の支援は怠ってきた。 

 国防部は、国際的な世論の高まりを受けて 2015年より地雷被害者とその家族に一定の支援金を支給しているが、 労働力を失って障害者として生きてきた被害者たちの生活の安定には程遠い金額である。

 それでも、非武装地帯の地雷除去を約束した文在寅大 統領の国連演説もあって、韓国政府は地雷問題の解決に 動き始めているようである。最近、国防部が地雷除去に 関連した法案を完成させた一方、韓国の市民社会では、 国務総理が主管する地雷除去機構を設置することを中心とした別の法案を準備している。両方の法案とも、非武 装地帯の地雷を除去するためには、UNMAS をはじめ国際的な地雷除去活動団体の受け入れを認めている。 

 いよいよ朝鮮半島の時計は休戦状態を終えて平和時代へと進もうとしている。長い間、戦争の蔭で途方もなく 苦痛に満ちた人生を送ってきた地雷および不発弾の被害者とその家族を顧みずに、どうして平和の時代などとい えよう。私たちが戦争の果てに平和を回復し安心して暮らしてきた間に、命を失い、またかけがえのない身体の一部を失った隣人たちに、我らの平和を分かち合うべきであろう。

パキスタン滞在レポート

加藤真希 JCBL会員

■パキスタンへ

 2021年2月~3月、ICBLのパキスタン・キャンペ ーンも担う「持続可能な平和と開発団体」(Sustainable Peace and Development Organization:SPADO)による地域での平和活動視察のため、パキスタンのイスラマバ ードに滞在しました。コロナ禍で先行きも見えない不安の中、渡航自体の中止も選択肢としてありましたが、やはり現場で対面の交流を行い、情報収集だけでなくお互いにとってのモチベーションに繋がることを期待し、滞在時期や期間の変更を重ね、これまで以上に面倒な準備と体制を整えて、決行しました。NGO 活動だけでなく、 パキスタンのホストファミリーと過ごしたことで、これまでの短期滞在では経験できなかった人々の暮らしを垣間見ることができました。

■SPADO のラザ氏

 SPADO代表のラザさんには滞在中お世話になり、3月に行われた彼の講演にも同行しました。クエイド=イ= アザーム大学(パキスタンで最も権威ある公立研究所の 一つ)が主催するシンポジウムで、「自律型致死兵器シ ステム(通称キラーロボット)」について、開発・使用状況の報告とその危険性や非人道性、廃絶に向けたアドボカシーの動きを、軍士官を含めた学生らに向けて講演し、 その場で活発な質疑応答がなされました。パキスタンは同じく核兵器を保持するインドを意識し、また西の隣国アフガニスタンで続く紛争にも大きく影響する、アジア 地域の安定において地政学的に重要な国です。市民社会の国際的なネットワークやキャンペーンが、政策を担う立場の人々に向けてプレッシャーをかける重要な役割を担うことなどを強調していました。このように、地域での平和づくりや教育支援といった草の根のプロジェクトや国際的なネットワークで活躍することを強みとしてい る SPADOの活動も知ることができました。

□パキスタンの状況

対人地雷全面禁止条約: 未加盟

クラスター爆弾禁止条約: 未加盟

対人地雷の使用: 最後に大規模に地雷が使用されたのは、2001年12月から2002年半ばまでインドとの間で緊張が高まったときで、2019 年または 2020 年にパキスタン軍の地雷使用は報告されていない。

生 産: 数少ない生産国の一つ。民間による生産は禁止。

輸出(移譲): 禁止。かつては主要な輸出国であり、アフガニスタン、エチオピア、エリトリア、スリランカ、ソマリア、バングラデシュでパキスタン製の地雷がみつかっている。

保有: 不明。世界に5番目に多い600万個以上を保有しているとみられている。 被害者:2016 年以前の被害者数は 4,342人(うち 1,644 人が死亡)。2016年の被害者数は 161人(うち 54人が死亡)。

■新型コロナウイルスの状況は?

 到着した空港では、必須とされていたため苦労して入力した新型コロナウイルス関連のアプリは一度も確認されず、また『迎えの人は待っていてはいけない』との指示が政府から出ていたにも関わらず多くの人が家族・友人を迎えていたので、面喰いました。街に出ても、マスクをしている人は少数に思えました。ショッピングモー ルなどでもマスクは形式的にすぎなかったし、繁華街では夜遅くまで多くの人が飲食して(お酒はありませんが)、 賑わっていました。しかし、3月半ばに差し掛かるころ 感染状況は急速に(再)悪化し、政府は「第3波」を認め、部分的ロックダウンや、飲食店の時短、一時は解除していた教育機関の閉鎖措置を再び取り始めました。

加藤真希:「平和を作る。紛争を止める」をテーマに活動する 「平和村ユナイテッド」理事。

 大学卒業後、メキシコにて先住民族地域でのフィールドワークを行う地域開発学を専攻した後、都市部のスラム地域で活動する現地NGOにてボランティアコーディネータを務める。2012年より2020年まで日本国際ボランティアセンター(JVC)アフガニスタン事業担当。語学の達人で、勉強を続けているパシュトゥン語を深めることも今回のパキスタン滞在の目標のひとつ。

■パキスタンからのメッセージ

 みなさん、こんにちは。ICBL のパキスタンのキャンペーンを担っているSPADO(持続可能な平和と開発の団体)のCEO(最高責任者)をしておりますラザ・シャー・カーンです。SPADO はこれまで 20 年間、平和組織として、パキスタンの地雷と簡易爆弾(IED)の調査、啓発活動、地雷や IED、その他の無差別兵器の被害に遭った人々の権利を守るための支援を実施してまいりました。

 世界の他の地域と同様に、地雷とIED は、パキスタンの女性や子どもを含む数千人を殺害し、負傷させてきました。私たちはすべての政府に地雷廃絶を訴え、地雷 に汚染された地域では、地元の人々とコミュニティを守るために地雷回避教育を提供しています。  私たちは、JCBLが地雷廃絶において担ってきた役割と長年の熱心な活動に感謝の意を表します。これからもパキスタンのSPADOとJCBLの連帯が拡大されていきますよう願っています。

 

コロナ禍でも続いた義足づくり ビルマ / ミャンマーの地雷被害者支援 2020 年度報告

清水俊弘 JCBL代表理事

 アジアで最も多くの地雷犠牲者を出しているビルマ / ミャンマーにて、JCBLが義肢の支援を始めて4 年になりました。2017 年に始まったこの活動は、年間50人の地雷犠牲者に対して義肢を提供することを目標にタイとの国境に近いカヤー州で行われています。 

 現地で、カウンセリングから義肢の製作まで一連の作 業を実施するのは、現地パートナーの KNHWO(カレン ニ―・ナショナル・ヘルス・ワーカーズ・オーガニゼー ション)です。基本的に私たちが支援しているのは工房 の 6 カ月分の稼働資金ですが、現場では技師の出勤数を 調整するなどして、通年で対応できるように工夫をしています。

 昨年も一昨年と同等の活動を計画しておりましたが、 2020 年度の始まりとともに世界を包んだ新型コロナウイルスの影響により、計画の一部を変更せざるを得ない状況に直面しました。

 ビルマ / ミャンマーでは、2020年3月に初めてのコロナウイルス感染者が確認されて以降、政府による感染予防策が概ね機能してきたようでしたが、8 月下旬から拡 大傾向に入り、州をまたぐ移動はもとより、カヤー州内の移動にも一定の制限が加えられました。

 この状況下でも KNHWO は、マスクやフェイスシール ドの着用、消毒液、工房入り口での手洗い設備の設置など考え得る様々な感染予防策を講じながら義足工房を稼働させてきました。

その結果、目標50人を上回る 63人に義足を提供することができました。内訳は男性が 57 人、女性が6人となっており、引き続き女性への提供数の拡充が課題となっています。年齢的には 40代~ 60 代が全体の8割を占め、 次いで 30代、20代以下となっています。ほとんどが地雷の被害者ですが、1割ほどは事故やガンなどの病気が原因の人も含まれています。また、全体の2割が新規の義足製作で残りの多くは修理や作り直しでした。 

 古くなったり、体に合わなくなったものを使い続けることは日常生活にも支障をきたすので、定期的なチェックと交換が必要であることがわかります。  残念ながら今年度につきましては、現地モニタリング ができなかった関係で義足を受け取った人たちの生の声 をお伝えすることができませんが、厳しい環境の下でも 工房を稼働させてくれた現場のスタッフたちの努力をみ なさまにお伝えしたいと思います。

 コロナ禍には活動できた一方、2021 年 2 月に起きた軍部によるクーデターにより国内の治安情勢が一気に悪化したことで、ミャンマー政府の条約加盟や犠牲者支援の 拡充を目指す政策対話などの活動は一旦停止せざるを得なくなっています。 

 本来であれば、私たち国際キャンペーンのメンバーは 締約国会議などに参加して、ミャンマー政府の代表団との接触を試みています。しかし、昨年度のようなオンライン開催では対話の機会を設けることができず、今は新型コロナウイルス感染の収束と政情の回復を待つしかあ りません。  

 現地コーディネーターからは、軍政に反対する市民の抗議行動が激化する中、カヤー州でも政府軍と地元少数民族の武装兵士たちとの間で戦闘があって、およそ5万人の市民が森林地帯に避難しており、水や食料も足りなくなってきているとの報告を受けています(2021 年 5 月 現在)。この戦闘において再び対人地雷が使われる恐れもあります。そのような事態になる前に軍政と抵抗勢力との間で停戦合意が結ばれることを切に願っています。

 今のところ、工房の再開、日本からの送金、現地を訪れてのモニタリングのすべてに見込みが立ちませんが、 現地コーディネーターとのコミュニケーションを継続しながら、事業再開に向けた計画づくりと工房自立に向けての中・長期的な段取りを検討していく予定です。

第12回会員総会報告

渡辺美緒貴 JCBL理事

 6月19日、第 12 回年次会員総会が、正会員77人のう ち47人(うち委任状35人)の参加により定足数を満たして開催されました。コロナ禍における2回目の総会となり、 全員がオンラインによる参加でした。  以下の議案につき清水代表理事が説明いたしました。

■第1号議案 2020年度活動報告

 クラスター爆弾禁止条約の発効から10年となり、5 年に 1 度の再検討会議がローザンヌで開催されたが、オンライン参加となった。各国からは、新型コロナウイルスの影響で、地雷除去や回避教育、サバイバー支援などにも移動規制などの影響が大きく、活動に大きな影響を受けたとの報告が目立った。ICBLのステートメントの発表は各セッションで実施されるが、国際協力については清水が担当した。クラスター爆弾の使用を停止させることが大きな課題であるが、これまでは対面で行われていた締約国会議等の国際会議がすべて オンラインで実施されたことで、ICBLのメンバーによる会場でのロビー活動ができず、関係諸機関との交流の機会が激減した。その中で、ICBL/CMCは、締約国の少ないオスロ条約の未加盟国のうち特に11ヵ国をターゲットにキャンペーンを展開し、JCBLも参加した。オスロ条約には現在、123ヵ国が賛成(批准国は110ヵ国)しているが、加盟国の増加が課題である。

 オタワ条約では、加盟国が164ヵ国から増えておらず、特にアジアの国の加盟が課題であるが、未加盟国の中国、韓国、シリア、ミャンマー等が 2020 年の締約国会議に参加した。今後これらの国々との対話につなげることが課題である。 トランプ政権で地雷政策が逆戻りしたアメリカは、バイデン政権に代わった後も政策を変更しておらず、米キャンペーンを中心にバイデン政権宛のメッセージを出している。地雷の使 用については、反政府勢力により多用されている IED(簡 易地雷)の犠牲者が増えている問題がある。

 ビルマ / ミャンマーにおける義足支援については、年間50 人に提供する目標のところ63 名(うち女性は6 名)に支援を提供できた。しかし2 月のクーデターで、現場での活動は休止を余儀なくされた。

 特記すべき事項として 1 月 22 日の核兵器禁止条約の発 効がある。オタワ条約・オスロ条約に続く人道的な軍縮条約であり、特に日本の金融機関が核兵器に関する投融資禁止を掲げたことは、クラスター爆弾への投融資禁止キャンペーンが影響を与えたといえるだろう。  啓発活動として、オンラインセミナーを2 回実施した。遠方の参加者を得ることができ、よい評価をいただいた。引き続き工夫して定期的に開催していきたい。

■第2号議案2020年度決算報告・監査報告

 会費収入はほぼ予算額通り、義足支援のために 132 万円 を受領した助成金は、現地モニタリング費用の 25 万円を返 金するため若干の減額となったが、100 万円の特別寄付があり、国際会議の参加費用の支出がなかったことから、全体には黒字となった。  この結果について、山口監事から監査報告がなされた。

■第3号議案2021年度事業計画

 オタワ条約に関しては、韓国のキャンペーンと協力して韓国の加盟を働きかけることに加え、ICBLと協力し、日本に大使館や領事館のあるトンガとジブチの条約加盟を日本の外務省通常兵器室に声をかけて訴えていく。また戦闘で地雷が再び使用され犠牲者が増えることが懸念されるビルマ / ミャンマーのサバイバー支援は、早い工房の再開を期待しつつ状況をみながら事業継続をめざす。新たな取り組みとして、 地雷問題を多角的に理解するためのビデオ教材の作成を企画している。2020 年度より始めたオンラインセミナーをより定 期的な形で企画できるよう進めることと合わせて、啓発活動にも力をいれていく。

■第4号議案2021年度予算

 安定した運営のためにも、会員の増加を目指し、助成金も得ながら事業を進める。今年度も国際会議はオンラインで の開催となる見込みで旅費交通費の支出は抑えられる。状況が許せばビルマ / ミャンマーでのモニタリングが実施できるようそのための予算はとっている。

■第5号議案定款変更

8 月に事務所を移転する計画があるため、定款記載の住所を「台東区に置く」と変更する。

 すべての議案は参加者全員の賛成で承認されました。 総会終了後には、オンラインのよいところで普段はなかなか 会えない全国各地からの参加者の皆さんと交流の時間を持 てました。JCBL への期待や励ましの言葉もいただき、気持 ちを新たにいたしました。

JCBL事務局だより

オンラインセミナーの開催に取り組んでいます

清水俊弘 JCBL代表理事

 昨年から続く新型コロナウイルスの感染拡大で、報告会やセミナーなど人が集まる 行事の開催が困難となっている中で、多くの市民団体がオンラインでの企画を充実さ せています。そこで、アナログ派が多いJCBLでも遅ればせながらオンラインセミナーの開催を試みています。

 まず第1弾は、2月に開催した『人道的軍縮の歩み ~対人地雷からクラスター爆弾、 そして核兵器の廃絶へ ~』でした。核兵器禁止条約が1月22日に発効したことを受け、 対人地雷の禁止から始まる一連の人道的軍縮の議論の経過と市民社会の果たしてきた役割についてお話ししました。初めての開催で宣伝も行き届かず、どのぐらいの参加者を得られるのか不安でしたが、当日は30名を超す申し込みがあり、少しホッとしました。神戸や大阪など遠方からの参加もあり、オンラインならではの利点も感じられました。 

 第2弾は、4月に開催した『コーラの缶が爆発!? 手製爆弾の脅威~パキスタンから の最新報告~』でした。ここ数年多くの犠牲者が出ている手製簡易爆弾の脅威につ いて、被害の多いパキスタンからの報告を中心に最新情報をお伝えしました。今号に記事を寄せてくださった加藤真希さんの報告に加え、パキスタン・キャンペーンの代表であるラザさんにもビデオ出演をしていただき、海外の現場の話が身近に感じられるものとなりました。 

 そして 、この原稿を書いている 本日7月21日は、第3弾の『韓国の地雷対策は今 』と題して、韓国地雷対策会議(KCBL)代表の趙載國先生より、朝鮮半島を分断する軍事緩衝地帯(DMZ)にある夥しい数の地雷の除去対策についての最新情報をお話しいただきます。  場所を問わず、気軽に参加できるオンラインセミナーの利点と、国際キャンペーンとして培ってきた様々な国・地域のキャンペーンメンバーとのネットワークを活かし、これからも多くの人々に地雷やクラスター爆弾の問題や解決に向けての取り組み、さらには核兵器を含む様々な非人道兵器の禁止に向けた取り組みについてお伝えしていきたいと思います。 

 不定期の開催となりますので、会員の皆様におかれましても、ホームページやfacebookのチェックをお願いいたします。